「可愛い」「忠実」「日本犬らしい凛とした姿」
そんなイメージで柴犬を選んだ人、多いのではないでしょうか。かく言う私もその一人でした。
SNSで見るもふもふの柴、笑ってるような顔、ぴょこんと立った耳、くるんと巻いたしっぽ。
“最高の相棒になりそう!”とワクワクしながら迎えたあの日の気持ちは、今でもよく覚えています。
でも、柴犬との生活は、正直に言って想像よりずっと大変でした。
「こんなはずじゃなかった」「なんで言うこと聞かないの」「しんどい」「向いてなかったかも」
そんな気持ちになった日も、一度や二度ではありません。
この記事では、柴犬を飼ってから「無理かも」と思った瞬間と、それでも今なお一緒に暮らしている理由を、飾らずに書いてみようと思います。
柴犬と暮らしている人、これから飼おうと思っている人、どちらにも届けば嬉しいです。
柴犬を飼うんじゃなかった!思ってたより全然言うこと聞かない

「柴犬は賢い」とよく聞いていました。確かに覚えは早いし、人の表情をよく見ている。
でもそれと「言うことを聞くかどうか」はまったく別問題でした。
・おすわりを覚えても、気が向かなければ無視
・呼んでも来ない(特に外)
・「こっち来ないで」と思ったら全力で寄ってくる
・散歩コースも本人(犬)次第
とにかく自分の意思が強い。
一度こうと決めたら動かない。まさに“柴距離”を感じる毎日でした。
抱っこが嫌い、触られるのも気分次第
柴犬って、見た目の可愛さとは裏腹にスキンシップが苦手な子が多いです。
うちの子も例に漏れず、撫でられるのも気分次第。
「今は触っていい時間」みたいなルールがあるらしく、それを破るとすぐに不機嫌な顔。
抱っこしようとすると、のけぞる。
なでようとしたら、スッと避ける。
近くに来たから撫でていいのかと思えば、睨まれる。
そういう日々が続くと、なんだかちょっと傷つく自分もいて。
「こんなに尽くしてるのに」
「もっと甘えてほしい」
そんな気持ちが溜まっていくと、「なんで柴犬にしたんだろう」と思うこともありました。
頑固で空気を読まないときの絶望感
柴犬の魅力は“独立心の強さ”とも言われます。
でもそれは裏を返せば「超頑固」ということ。
例えば、
雨の日に外に行きたがらない。
でも、玄関まで来て「やっぱ行く」と踏ん張る。
抱っこしようとすると逃げる。
帰ろうとすると座り込む。
動かない。
ただひたすら、動かない。
言葉も通じない相手に、なぜここまで振り回されなきゃいけないのか。
正直、何度か心が折れそうになりました。
思っていたよりも孤独だった
犬と暮らせば、毎日癒される。
そんな風に思っていたけれど、柴犬の場合、思っていたような“癒し”がすぐ手に入るわけではありません。
人懐っこくて、どこでもついてきて、ずっと寄り添ってくれる……
そんな姿を想像していた私は、最初とても戸惑いました。
呼んでも来ない、抱っこも嫌い、反応も薄い。
「この子、私のこと好きなのかな…?」と、本気で不安になったことも。
SNSで他の飼い主さんが仲良さそうに過ごしているのを見るたび、うちだけなんで?と落ち込む日もありました。
「向いてない」と思った夜
ある夜、散歩中に大雨に降られました。
私はびしょ濡れになりながら傘をさして、柴犬は道端で動かなくなり、全力で踏ん張る。
帰りたいのに動かない。抱っこもさせない。車も通る。びしょびしょ。
そんな状況の中、ふと頭をよぎったのが
「私、柴犬飼うの向いてなかったかも」
という一言でした。
疲れていたのもあると思います。
でも、それはきっと多くの柴飼いが一度は通る道なんじゃないかと思います。

それでも柴犬がくれるもの

でも不思議なもので、
そんな風に「もう無理」と思った翌日に限って、急にしっぽを振って寄ってきたりするんです。
普段はあまり甘えてこないのに、なぜかその日に限って
そっと膝の横で寝てくれたり
いつもと違う声で鳴いてきたり
ちょっと目を合わせてきたり
あのちょっとした変化が、全部を報われた気にさせてくれる。
ツンデレって言葉がここまでしっくりくる犬種、他にあるでしょうか。
柴犬って、なかなか心を開いてくれない。
でも、そのぶん少しずつ絆が深まっていく実感があるんです。
今、柴犬を飼ってよかったと思う理由
確かに手はかかるし、しんどいことも多い。
でも柴犬って、ちゃんと見てくれてる。
感情を読んで、空気を感じて、自分なりの方法で答えてくれる。
散歩コースにこだわるのも、触られたくないと主張するのも、
「これは嫌」「こうしたい」と、自分の意志をちゃんと持ってる証拠なんですよね。
それを尊重しつつ、毎日少しずつ距離を縮めていく。
たまにしか見せてくれないデレが、とんでもなく破壊力ある。
時間はかかるけど、そのぶん信頼関係が深くなったときの喜びは格別です。
まとめ
「柴犬、飼うんじゃなかったかも」
正直に言えば、そう思ったことは何度もあります。
でも今は、胸を張ってこう言えます。
「大変だったけど、柴犬にして本当によかった」
完璧に分かり合えなくてもいい。
気ままで頑固で、自由すぎるけど、だからこそ面白い。
うちの柴犬は、間違いなく私の人生を豊かにしてくれている存在です。
これからも、悩んだり笑ったりしながら、ゆっくり関係を育てていけたらと思っています。