犬は言葉を話せない分、表情や行動で気持ちを伝えてくれます。そんな中でも見落としがちなのが「ストレスサイン」。実はいつもとちょっと違う仕草や態度に、愛犬からのSOSが隠れていることがあるんです。
今回の記事では、犬がストレスを感じている時によく見られる行動を5つ厳選してご紹介します。もし「うちの子、これ当てはまってるかも…」と思ったら、ストレスの原因に気づいてあげるチャンスかもしれません。大切な愛犬が心地よく暮らせるよう、サインを見逃さないための参考にしてくださいね。
犬がストレスを感じる内容はYoutubeでも公開しています。
犬がストレスを感じている時に見せる10のサイン
1. 唸ったり吠えたりする(威嚇ではなく不安のサイン)
唸る、吠えるという行動は一見すると攻撃的に見えるかもしれませんが、実はストレスや不安のサインであることも多いです。犬は自分の気持ちを表現する手段として声を使います。たとえば見知らぬ人や物音に対して吠える場合、それは「怖い」「どうしていいかわからない」という気持ちの現れ。
叱る前に、なぜ吠えているのかを考えてみましょう。ストレスが原因であるなら、まずは安心できる環境づくりが大切です。威嚇とは限らないその声に、耳を傾けてあげてください。
2. 尻尾を下げる、丸める(恐怖や不安の現れ)
愛犬がいつもピンと立っている尻尾を下げているとしたら、それは不安や恐怖を感じているサインかもしれません。特に尻尾を脚の間に巻き込むような仕草は、強いストレスを感じている証拠です。
雷や花火、大きな音に対する反応としてもよく見られます。尻尾の動きは犬の感情を知る上でとても重要。普段との違いを見極めて、どんな場面で尻尾が下がるのか観察してみましょう。怖いと感じる原因を取り除いてあげることで、犬の心の負担を軽くしてあげられます。
3. 自分の体や物をしつこく舐める・かじる
犬がしきりに前足を舐めたり、おもちゃや家具をかじったりする行動も、実はストレスのサインであることがあります。これは「転位行動」と呼ばれ、落ち着かない気持ちを紛らわせるために無意識に行う行動です。特に、同じ場所を何度も舐めて毛が抜けていたり、傷ができている場合は要注意。
単なるクセと思わず、その背景にあるストレス要因を探ってみましょう。長時間の留守番や生活の変化など、犬にとっての「不安材料」がないかをチェックすることが大切です。

4. 家の中をウロウロする(落ち着かない様子)
部屋の中を意味もなく行ったり来たりする、じっとしていられない…そんな行動は、犬が心の中で不安や緊張を感じている時に見られるものです。特に、来客があった時や雷が鳴っている時など、環境に変化があった時に起こりやすいです。ウロウロするのは「どうしていいかわからない」という犬なりのストレス反応。静かな場所を作ってあげる、安心できる飼い主のそばにいられるよう配慮するなど、落ち着ける環境を整えてあげることが大切です。
5. 食欲が落ちる、または逆に食べすぎる
人間と同じように、犬もストレスを感じると食欲に変化が現れます。元気なのにごはんを残すようになったり、逆におやつをせがんで過食気味になったりする場合、精神的な不安が原因かもしれません。
特に急な環境の変化(引っ越しや家族構成の変化など)後に食欲が変わった場合は、心のバランスを崩している可能性があります。体調だけでなく、心の健康もチェックしてあげることで、愛犬のストレスサインを見逃さずに済みます。変化が続くようなら、獣医師への相談も検討しましょう。
6. あくびを頻繁にする(気分転換や緊張の表れ)
眠くもないのに、犬が頻繁にあくびをしているとしたら、それはストレスを感じている可能性があります。これは「カーミングシグナル」と呼ばれる行動で、緊張や不安を感じているときに、自分を落ち着かせるために行われることが多いです。
特にしつけ中や新しい環境に置かれたときなど、犬が少し困っているときに見られます。かわいい仕草に見えますが、あくびのタイミングには注意を払ってあげると、心の状態をより理解できます。

7. 震える・体を小さく丸める
明らかに寒くないのに体を震わせたり、体をぎゅっと小さく丸めたりする行動も、ストレスや恐怖の表れです。特に動物病院や苦手な場所に行くとき、飼い主の外出前など、犬が強い不安を感じる場面で見られることがあります。
体をすぼめるのは「ここにいたくない」「見えないようにしたい」という気持ちの表現。過去のトラウマや不安の強い犬に多く見られます。そんな時は無理に抱っこせず、そっと寄り添って安心させてあげるのが◎。
8. 過剰なあえぎ(パンティング)
運動をしていないのにハァハァと息が荒い、舌を出してパンティングしている時も、実はストレスサインのひとつ。緊張や興奮、または恐怖を感じたときに、体温を下げる目的以外でこの行動が起こることがあります。
特に暑くない室内であえぎが続く場合は要注意です。苦手な場所や状況に置かれた時、心拍数が上がり、それが呼吸の乱れにつながります。水分補給や休憩の時間を取り、無理せず落ち着ける環境に戻してあげましょう。
9. 目をそらす・顔を背ける
目を合わせるのを避けたり、顔をそっと背けたりする行動も、ストレスを感じたときに犬が見せるしぐさです。これは争いを避けるための「平和的な合図」で、犬なりに「今は関わりたくない」「ちょっとやめてほしい」と伝えているのです。
しつこく触ろうとしたり、怖いと感じる相手から目を逸らすといった場面に多く見られます。そんな時は無理に構わず、犬の気持ちを尊重して少し距離をとるのが、信頼関係を深めるコツです。
10. トイレの失敗(マーキングではなくストレス由来)
普段はきちんとトイレができているのに、突然粗相が増えた…という場合、ストレスによる行動かもしれません。新しい家族が増えたり、引っ越し、飼い主との距離感の変化など、環境の変化に対して不安を感じていることが考えられます。
怒ってしまうと、余計にプレッシャーを感じてしまうので注意が必要です。まずは愛犬の気持ちに寄り添い、安心できる空間を作ってあげましょう。再発が続く場合は、獣医師やトレーナーに相談するのも効果的です。

まとめ
犬はとても繊細な動物で、ちょっとした変化や緊張をすぐに感じ取ります。そしてそれを、私たちが気づける「行動」として表現してくれています。唸る・震える・食欲の変化など、今回ご紹介した10個のサインはどれも日常の中に潜んでいるものばかり。見過ごさず、優しく寄り添うことが大切です。
ストレスのサインに早く気づいてあげることで、愛犬の心と体の健康を守ることができます。無理な叱責や押し付けはせず、「どうしてかな?」と気持ちに寄り添っていくこと。それが、より深い信頼関係を築く一歩になります。