まるでフィルターをかけたような、やさしいピンク色をしたイルカ。
SNSなどでその姿を見て「本当にいるの?」「合成じゃないの?」と思った人もいるのではないでしょうか。
実はこのイルカ、アマゾン川に実在する「ピンクイルカ」、正式にはアマゾンカワイルカと呼ばれる動物なんです。
今回はこの幻想的なピンクイルカの秘密について、「なぜピンク色なの?」「どんな暮らしをしているの?」「今どんな危機にあるのか?」といった視点から、わかりやすく解説します。
ピンクイルカについてはYouTubeでも公開しています。
ピンクイルカは本当に存在する?その正体とは
「ピンクのイルカがいる」と聞くと、なんだか夢のような話に聞こえますが、ピンクイルカはれっきとした実在する生き物です。
正式名称は「アマゾンカワイルカ」。英語では“Amazon River Dolphin”や“Boto(ボト)”とも呼ばれ、南米のアマゾン川流域に生息しています。
外見の特徴はその名の通り、体の色が美しいピンク色をしていること。ふっくらとした顔立ちと、ややモフッとした印象のボディが特徴で、見た目の可愛さから世界中にファンも多いんです。
なぜピンク色になるの?その秘密は血流と成長にあった
ピンクイルカがなぜピンク色になるのか、不思議に思ったことはありませんか?
実は生まれたばかりのときは灰色(グレー)をしており、成長とともに少しずつピンク色に変化していくんです。
さらに面白いのが、「その日のコンディションによって色の濃さが変わる」こと。
たとえば、運動した後やケンカをした後など、血流が良くなったときに体がより濃いピンクになると言われています。まるで人間が顔を赤くするような反応ですね。
また、個体差も大きく、中には淡いピンクの子もいれば、鮮やかなサーモンピンクのような子もいるそうです。

首が動く!?ピンクイルカならではの特徴
もうひとつ注目すべき特徴が、「首が動く」ことです。
一般的な海のイルカは首の骨があまり動かないため、頭を左右に自由に振ることができません。
しかしアマゾンカワイルカは、首の骨(頸椎)が分離しているため、なんと人間のように首をくるくると回すことができるのです。
これによって、アマゾン川のような狭く入り組んだ場所でも、器用に方向転換したり、エサを探したりすることが可能になっています。
さらに知能も高く、好奇心旺盛でフレンドリーな性格。時には人間のそばまで寄ってくることもあるそうですよ。
現地では「水の精霊」と呼ばれる存在
ピンクイルカは、その神秘的な姿から、アマゾンの先住民の間では**「水の精霊」や「変身する人間」**といった伝説の存在として語り継がれています。
たとえば、ある伝承では「ピンクイルカは満月の夜に人間に変身し、村に現れて恋をする」といったロマンチックな話も残されています。
美しさと不思議さを併せ持つピンクイルカは、文化的にも非常にユニークな存在なんです。
かわいいだけじゃない。今ピンクイルカが抱える危機
そんなピンクイルカですが、現在は絶滅の危機にあることをご存じでしょうか?
主な原因は、
アマゾンの森林伐採やダム建設
川の水質汚染やプラスチックごみ
漁業による混獲(意図せず網にかかってしまう) など
その結果、個体数は年々減少しており、IUCN(国際自然保護連合)によって絶滅危惧種にも指定されています。
私たちがこのイルカを「かわいい」と思うだけでは、守ることはできません。
彼らの住む自然環境を守ることが、未来の命をつなぐ第一歩なのです。
まとめ
幻想的な存在を“守る”という選択を
一見、夢のような姿をしたピンクイルカ。
けれど、その裏には進化の知恵、自然の摂理、そして人間による影響が密接に関係しています。
「ただの珍しい動物」ではなく、
この地球で一緒に生きている存在として、私たちができることを考えてみませんか?
この記事がきっかけで、少しでもこの生き物や環境に興味を持ってくれたら嬉しいです。