短足でキュートなフォルムが人気のコーギー。そのもふもふの毛並みは見た目も手触りも抜群ですが、夏場になると「暑そう…」「サマーカットした方がいい?」と悩む飼い主さんも多いはず。特に年々厳しくなる日本の夏では、被毛の長い犬種にとって暑さ対策は重要なテーマです。
この記事では、コーギーにサマーカットが本当に必要なのか、カットする場合の注意点、カット以外の暑さ対策までを詳しく解説します。見た目の可愛さだけでなく、健康を第一に考えたケアの参考にしてください。
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コーギーの毛質とサマーカットの関係

ダブルコートって何?
コーギーは「ダブルコート」と呼ばれる毛質を持っています。これは、外側の硬い「オーバーコート(上毛)」と、内側の柔らかい「アンダーコート(下毛)」の二層構造になっているもの。外気を遮断し、寒さや暑さから皮膚を守る役割を持っています。
このダブルコートは、寒い冬には体温を保持し、暑い夏には皮膚に直接熱が当たるのを防ぎます。そのため、「毛が長いから暑そう」と思って短く切ってしまうと、逆に体温調節機能を妨げることもあります。
サマーカット=涼しくなるわけではない
よくある誤解として、「サマーカットをすれば犬も涼しくなる」というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。むしろ、毛を短くしすぎることで紫外線や虫刺されの影響を直接受けやすくなり、皮膚トラブルを招くリスクが高まる可能性もあります。
特にバリカンでごく短く刈ってしまう「丸刈り」に近いカットはNG。コーギーの皮膚はデリケートなため、紫外線による炎症(日光皮膚炎)や乾燥を引き起こす可能性があります。

コーギーにサマーカットをするメリットとデメリット

メリット
- 見た目がすっきりし、清潔感が出る
- 汚れが付きにくく、散歩後のケアが楽になる
- 毛玉や絡まりを防ぎやすくなる
- 抜け毛の量が一時的に減る場合もある
短くしすぎない「整える程度のトリミング」であれば、被毛の通気性が良くなり、皮膚の蒸れやにおいを防ぐのにも効果的です。
デメリット
- 皮膚が露出しすぎて紫外線のダメージを受けやすくなる
- 体温調節がうまくできず、逆に暑さに弱くなることも
- 一度カットすると毛質が変化しやすくなる
- トリミング後、毛が生え揃うまでに時間がかかる
中には、一度サマーカットをしてから毛がごわついたり、ツヤが戻らなくなったというケースも。特にシニア犬や皮膚疾患のある子は、慎重な判断が必要です。
サマーカットする場合の注意点

コーギーにサマーカットを施す場合、ただ毛を短くすればよいというわけではありません。
ダブルコートという被毛構造を持つ犬種であるため、カットの方法やタイミングを間違えると、健康や毛質に深刻な影響を与えることもあります。ここでは、実際にサマーカットを行う際に注意すべきポイントを詳しく解説します。
1. 短くしすぎない
最も大切なのは「毛を短くしすぎないこと」です。コーギーの被毛は、上毛(ガードヘア)と下毛(アンダーコート)の二重構造で成り立っており、これが本来の体温調節や紫外線からの保護を担っています。
もし、バリカンなどでアンダーコートまでごっそり刈ってしまった場合、皮膚が直に外気や太陽光にさらされ、以下のようなリスクが発生します:
- 日光皮膚炎(皮膚が赤くただれる)
- 虫刺されによる皮膚トラブル
- 乾燥やフケ、皮膚のかゆみ
- 夏なのに体温調節ができず、かえって熱がこもる
目安としては、最低でも被毛の長さを5mm〜1cm程度は残すこと。触ったときに地肌が見えるほど短くなっている場合は切りすぎです。毛は「断熱材」であることを忘れずに。
2. サマーカット後に毛質が変わることがある
一度サマーカットを経験したコーギーの中には、毛が生え揃ったあとに「毛質が変わった」と感じるケースがあります。たとえば、以前よりごわごわ・ちりちりした毛になった、艶がなくなった、毛並みがまばらになった、などです。
これは、特にアンダーコートが強く残って再生された結果、毛のバランスが崩れてしまうことが原因と考えられています。加えて、加齢やホルモンバランスの変化によっても再生する毛が変わるため、一度毛質が変化すると元に戻らないケースもあります。
このため、「一度だけ試してみよう」という軽い気持ちでのサマーカットは、慎重になるべきです。
3. トリマーに細かく希望を伝える
トリミングサロンにサマーカットを依頼する場合、犬種によってはバリカンで短く刈るのが当たり前という認識を持っているトリマーも少なくありません。事前に「どの程度までカットしてよいか」をしっかり伝えることが必要です。
たとえば、以下のように具体的にオーダーしましょう:
- 「バリカンは使わずに、ハサミで整える程度に」
- 「アンダーコートは残して、全体の長さを1〜2cm短くするだけで」
- 「背中とお尻まわりだけ軽くカットして、ほかはブラッシング中心で」
また、口コミなどで「ダブルコート犬に詳しいトリマー」がいる店舗を選ぶのも一つの方法です。
4. 自宅でカットする際の注意点
最近では、バリカンやペット用シザーを使って自宅でトリミングを行う飼い主さんも増えていますが、慣れていないとトラブルの元になります。
特に気をつけたいのは以下のポイントです:
- 犬が急に動いてケガをする
- 左右でカットの長さが違って見た目が不自然になる
- カット後にチクチクして犬がかゆがる
- 皮膚を誤って切ってしまう
自宅で行う場合は、あくまで「お尻まわりの毛を軽く整える」「毛玉だけを部分的にカットする」など、リスクの少ない範囲にとどめておくのが安心です。
5. カット後は紫外線・虫対策をしっかり
被毛を短くした場合、皮膚が露出している分、外部環境への対策を強化する必要があります。特に夏場は、紫外線が強く、蚊・ノミ・ダニなどの虫も活発です。
以下のような対策を検討しましょう:
- 日中の散歩は避け、朝晩の涼しい時間帯にする
- 犬用のUVカット服や冷感ベストを活用する
- ノミ・ダニの駆除薬を獣医と相談のうえ使用する
- 日差しの強い場所では散歩を短めに
また、直射日光の当たるバルコニーや車中などは、短時間でも皮膚への負担が大きくなります。炎天下での放置は厳禁です。
6. そもそも「本当に必要?」と考える
最後にもう一度考えてほしいのは、「そもそも本当にカットが必要か?」ということです。見た目のため、涼しそうに見えるから、という理由でのサマーカットは、かえって犬の健康を損なう可能性があります。
コーギーのようなダブルコート犬は、きちんと換毛してブラッシングさえすれば、毛を短くしなくても暑さにある程度適応できるようになっています。カットよりも、生活環境や毎日のケアを見直すことで、暑さ対策を十分に行うことが可能です。

コーギーのカット以外の暑さ対策

1. 室温と湿度の管理
コーギーの暑さ対策で最も重要なのは、室内の温度と湿度のコントロールです。理想は気温25℃前後、湿度50〜60%。エアコンはもちろん、サーキュレーターを使って空気を循環させたり、ひんやりマットやアルミプレートを用意するのも効果的です。
2. 散歩の時間をずらす
日中のアスファルトは非常に高温になり、肉球をやけどする危険があります。散歩は早朝か日が沈んだ後に。水を持参し、途中で日陰で休憩を取りながら歩くようにしましょう。
3. ブラッシングで通気性を保つ
カットをしなくても、こまめなブラッシングでアンダーコートを取り除くことで、通気性を保ち、体温調節を助けることができます。換毛期と重なる時期は特に重要です。週に2〜3回はしっかり時間を取ってブラッシングをしましょう。
4. 水分補給をこまめに
いつでも清潔な水を飲めるようにしておくのはもちろん、食事からも水分が取れるようにウェットフードを混ぜるなどの工夫も有効です。特にシニア犬は脱水になりやすいため、意識して摂取量を増やしましょう。
まとめ
コーギーのサマーカットは、見た目の爽やかさとは裏腹に、多くのリスクを伴います。ダブルコートという特性を理解したうえで、「必要以上に短くしない」「皮膚を守ることを最優先にする」という視点を持ちましょう。
暑さ対策はカットだけではなく、生活環境や日々のケアによっても十分にカバーできます。大切なのは、飼い主が愛犬の様子をよく観察し、無理のない方法で快適な夏を過ごさせてあげること。サマーカットは「見た目のため」ではなく、「健康と快適さのため」であるべきです。
暑い夏でも元気に過ごせるよう、正しい知識と準備で、愛犬との毎日をもっと心地よくしていきましょう。