柴犬と長く一緒に暮らしていると、「うちの子ももう歳かな?」「今の年齢だとどんなケアが必要?」といった疑問が出てくるものです。
人間の年齢と犬の年齢は単純には比較できませんが、おおよその目安があることで、ライフステージに応じた適切なケアが可能になります。
今回は柴犬の年齢を人間年齢に換算した早見表と、年齢ごとの注意点や接し方をわかりやすく解説します。
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柴犬の年齢早見表(人間年齢との比較)

柴犬の年齢 | 人間相当の年齢 | ライフステージ | 特徴・体調の変化 |
---|---|---|---|
1歳 | 16〜18歳 | 若年期(成犬) | エネルギーにあふれ、いたずらも多い。社会化と基本しつけの最適期。 |
2歳 | 20〜23歳 | 若年期(成犬) | 少し落ち着きが出てくるが、遊びや運動が大好き。 |
3歳 | 25〜28歳 | 成熟期 | 精神的に安定し始め、信頼関係も築ける頃。 |
4歳 | 30歳前後 | 成熟期 | 無駄吠えや落ち着きのなさが減少。関節のケアが視野に入る。 |
5歳 | 35歳前後 | 中年期 | 代謝が落ちてくる。体重管理と定期健診が大切。 |
6歳 | 40歳前後 | 中年期 | 疲れやすくなり、睡眠時間が増えることも。 |
7歳 | 45〜48歳 | シニア期 | 老化のサインが徐々に現れる。食事と運動の見直しを。 |
8歳 | 50〜53歳 | シニア期 | 聴力や視力に衰えが出始める場合あり。穏やかな生活が必要。 |
9歳 | 55〜58歳 | シニア期 | 体調の変化が目立ち始め、定期検査が重要になる。 |
10歳 | 60〜65歳 | 高齢期 | 無理がきかなくなり、寝ている時間が長くなる。 |
11歳 | 68〜70歳 | 高齢期 | 認知機能に変化が出る個体も。夜鳴きなどが見られることもある。 |
12歳 | 75歳前後 | 高齢期 | 足腰が弱くなり、介助が必要になることも。 |
13歳 | 80歳前後 | 高齢期 | 排泄の失敗が増える。生活環境の見直しが必要。 |
14歳以上 | 85歳以上 | 超高齢期 | 歩行困難や寝たきりのリスク。介護と精神的なケアが求められる。 |
柴犬の年齢ごとの特徴とポイント解説
- 1歳(人間で15歳):体は大人でも心はまだ子ども。しつけや社会性を育てる大切な時期です。好奇心旺盛で動きも活発。
- 2歳(人間で24歳):精神的にも安定してきますが、エネルギーは非常に高い状態。運動量や刺激が必要です。
- 3〜5歳(人間で28〜36歳):心身ともに成熟し、最も落ち着いている時期。しつけの成果が出やすく、人との信頼関係も深まりやすいです。
- 6〜8歳(人間で40〜50歳):動きはまだ活発ですが、疲れやすさも見え始めます。関節や内臓への負担に注意し、無理のない生活を。
- 9〜11歳(人間で56〜68歳):白髪や体力の低下が目立ち始める時期。健康診断の頻度を増やし、食事や運動も調整が必要です。
- 12歳以上(人間で72歳以上):寝ている時間が増え、認知症の兆候が出ることもあります。穏やかな環境づくりと介護の意識が求められます。
柴犬の年齢に合わせた食事と運動の工夫

柴犬の健康を保つためには、年齢ごとの身体の変化に応じた食事と運動の工夫が欠かせません。特に柴犬は太りやすい体質でもあるため、「若い頃と同じ食事量・運動量」のままでは体調を崩してしまう可能性もあります。ライフステージごとに最適なケアを見直していきましょう。
子犬〜若い成犬(1〜3歳)
この時期は骨格や筋肉が発達する成長期です。食事は高タンパク・高カロリーが基本で、消化しやすいフードを選ぶことが大切です。添加物や人工保存料を避け、栄養バランスの取れたフードで内臓への負担を減らしましょう。また、遊びながら学べる知育トイなども取り入れると、心の成長にもつながります。
運動面では、ただ走らせるだけではなく「刺激のある運動」を取り入れるのが効果的です。違うルートの散歩や、音や匂いを使った遊びを日替わりで行うことで、脳への刺激にもなります。若い時期にしっかり運動習慣をつけておくことが、将来の肥満やストレス予防につながります。
成熟期(4〜6歳)
体力と知能がバランス良く整うこの時期は、最も安定した時期とも言えます。ただし、代謝は少しずつ落ちてくるため、若い頃と同じ食事量を続けると太りやすくなります。フードのカロリー密度を調整したり、トッピングを野菜中心に変えるなど、日常の小さな工夫が効果的です。
運動は「楽しみながら継続」がポイント。単調な散歩だけでは飽きてしまうこともあるので、簡単なトリックやドッグスポーツの要素を取り入れると、柴犬の集中力やモチベーションも維持しやすくなります。
中年〜シニア期(7〜11歳)
この時期からは、健康診断での早期発見が重要になります。内臓系のトラブルや関節の異常は外からは見えにくいため、定期的な血液検査やエコー検査が安心材料になります。フードも「シニア用」に切り替え、関節ケア成分(グルコサミン、コンドロイチン)を含む製品を選ぶと安心です。
運動は「ゆるやかな負荷」がベストです。階段の上り下りや急な坂道は避け、平坦な道を短時間ずつ、1日2回に分けるなどの工夫が理想的。無理をさせず、「続けること」が第一です。日々の変化に敏感になり、疲れや痛みに気づいてあげることが大切です。
高齢期(12歳以上)
柴犬が12歳を超えると、加齢による変化が一気に目立ち始めます。食が細くなる、歯が弱くなる、味覚が鈍くなるといった変化が重なり、「今までのフードを急に食べなくなった」という相談もよく聞きます。柔らかいウェットタイプに変える、香りの強い素材をトッピングするなど、食欲を維持する工夫が必要です。
運動は「体を動かす」だけでなく「気分転換」の意味合いも強くなります。外の空気を吸わせるだけでも気持ちがリフレッシュされるので、短時間の外出でも積極的に取り入れましょう。気温や足腰の状態に注意し、室内での軽いストレッチやマッサージもおすすめです。

柴犬の獣医ケアのタイミングと注意点は?

柴犬と長く健康に暮らしていくためには、定期的な獣医師のケアが不可欠です。特に柴犬は、健康なときは元気いっぱいに見えるため、異変に気づきにくい傾向があります。しかし、年齢を重ねるごとに内臓や関節のトラブルが表に出始めるため、「元気そうだから」と油断せず、定期的な健康チェックを受けましょう。
年1回は最低でも健康診断を
若いうちは年1回の健康診断でも十分ですが、シニア期(7歳以上)に入ったら、年2回の健康チェックが理想的です。血液検査や尿検査、レントゲンなどを通じて、表面化していない病気の兆候を早期に見つけることができます。特に腎臓病、心臓病、関節疾患は柴犬にも多い傾向があるため注意が必要です。
ワクチンとフィラリア予防は忘れずに
毎年のワクチン接種(狂犬病、混合ワクチン)は法律的・健康的にも大切です。また、春から秋にかけてはフィラリア予防も必要。これらは「つい忘れがち」なケアですが、1つでも欠けると命に関わるリスクになります。カレンダーアプリやリマインダーなどを活用して、毎年忘れずに受ける習慣をつけましょう。
歯や皮膚のチェックも見逃さない
柴犬は皮膚トラブル(特にアレルギー性皮膚炎)や歯周病になりやすい傾向があります。毎日のブラッシングや歯磨きで状態を確認し、少しでも異常を感じたら早めに相談しましょう。皮膚の赤みやフケ、かゆみが続く場合や、口臭が強くなる場合は注意が必要です。
心の変化にも目を向ける
シニアになると身体だけでなく、精神面にも変化が出てきます。突然怒りっぽくなったり、逆に無気力になったりすることもあります。これは老化による脳の変化や、体調不良のサインかもしれません。心の変化を見逃さず、いつもと違うと感じたら獣医師に相談することが大切です。
セカンドオピニオンも視野に
かかりつけ医の意見だけで不安が残る場合は、セカンドオピニオンを受けるのも一つの選択肢です。複数の意見を聞くことで、より適切な治療やケアの方向性が見えてくることもあります。信頼できる獣医師との関係を築くことが、飼い主と柴犬双方の安心感につながります。

まとめ
柴犬は見た目の変化が少ない犬種のため、年齢に伴う体や心の変化がつい見落とされがちです。しかし、私たち飼い主がそのライフステージをしっかり把握し、年齢に応じたケアや関わり方を心がけることで、柴犬はずっと元気に、そして穏やかに暮らすことができます。
今回ご紹介した表を参考に、柴犬の年齢や変化を再確認し、それに合った食事・運動・獣医ケアを見直してみてください。また、「今までは大丈夫だったから」と油断せず、ほんの小さな変化にも気づいてあげられる観察力が、健康寿命を延ばす鍵になります。
年を重ねるごとに、柴犬はますます愛おしく、かけがえのない存在になります。だからこそ、今できることを少しずつ積み重ねて、歳を重ねたその先まで、一緒に幸せな時間を過ごしていきましょう。
柴犬の年齢を「ただの数字」としてではなく、「大切なサイン」として受け止める。それが、飼い主としてできる最も優しい思いやりかもしれません。
